21世紀を代表するヴァージニア州生まれのアメリカ人アーティスト、サイ・トゥオンブリー（Cy Twombly）の作品集。絵画作品で最も知られる作者は、60年にわたる活動の中で彫刻作品も特徴的なものとして残してきた。木材、金属などの日常素材や、造花、電灯の傘、椅子といったファウンド・オブジェクトから作品を生み出し、これらを統一させる白いペンキで繊細に塗り重ねされている。その結果、作品群は単にシリーズとして展開するのではなく、その個々が素材の変容として現れる。本書は、アメリカ・メリーランド州の「グレンストーン美術館（Glenstone Museum）」で長期間展示された彫刻作品5点をまとめており、同館の創設者でありチーフキュレーターのエミリー・ウェイ・レイルズ（Emily Wei Rales）による紹介文、アメリカ人美術史家、ケイト・ネシン（Kate Nesin）によるエッセイが掲載されているほか、「ニコラ・デル・ロッショ・アーカイブ（the Nicola Del Roscio Archives）」の協力により、作者のイタリアのスタジオで撮影された彫刻作品の未公開写真を収録している。

Though perhaps best known for his paintings, Cy Twombly (1928–2011) developed a singular body of sculpture over the course of his 60-year career. These sculptures are made from quotidian materials such as wood, paint, metal, and found objects, including plastic flowers, lampshades, and a makeshift seat, to which he applied a delicate and unifying layer of white paint. This catalogue marks the long-term exhibition of five Twombly sculptures at Glenstone, and includes an original essay by scholar Kate Nesin and never-before-published archival images of the sculptures in the artist’s studios in Italy courtesy of the Nicola Del Roscio Archives.