1915年にオハイオ州クリーブランドに支援施設として設立され、のちに文化施設へと発展した「カラム・ハウス（Karamu House）」において黒人版画家たちが結成した「Karamu Artists Inc.」の歴史を紹介する作品集。2025年3月から8月にかけて、地域を同じくして「クリーブランド美術館（Cleveland Museum of Art）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

「カラム・ハウス」は、全米屈指の黒人コミュニティ・アート・センターであり、そこで生まれたグラフィック・アートは革新的な役割を果たした。1915年に「セツルメント・ハウス（隣保館 / 社会福祉支援施設）」として設立された「カラム・ハウス」は、ブラック・アメリカン・カルチャーの最も有名な拠点のひとつとなった。今日では演劇プログラムで知られるこの施設には、1930年代初頭から版画工房が置かれ、若きラングストン・ヒューズ（Langston Hughes）を含むアーティストや地域の面々は、皆一様に様々な技法を試すことができた。版画が持つアクセスのしやすさと民主性の理念が結びつき活かされた結果であった。このことは、エルマー・W・ブラウン（Elmer W. Brown）、ヒューイ・リー・スミス（Hughie Lee-Smith）、チャールズ・サレー（Charles Sallée）、ウィリアム・E・スミス（ William E. Smith）など、ニューディール政策期の「公共事業促進局（WPA / Works Progress Administration、1939年に Work Projects Administration と改称）」時代に最も知られた黒人版画作家たちをメンバーに数えるグループ「Karamu Artists Inc.」の設立に繋がった。1942年、のちにこのグループを象徴する存在となる巡回展が開催され、アーティストたちの集団的かつ個人的アイデンティティに関する表現が賞賛された。この展覧会は、「WPA」や「ハーレム・ルネッサンス（Harlem Renaissance）」の活動が遺した作品など、1930年代から1940年代におけるアメリカ美術のより広い文脈の中で、「Karamu Artists Inc.」とその画期的なグラフィック・アートの活用を位置づけた初めての展覧会となった。

本書に掲載されている作品には、版画作品そのものとアーティストたち、そしてブラック・アートとカルチャーを、それ自体が形作った歴史の中で位置付けたエッセイが添えられている。同施設の卒業生であり版画家であるカーリー・レイヴン・ホルトン（Curlee Raven Holton）のインタビューも掲載し、エッセイを補完している。

An exploration of the rich history of printmaking at Cleveland's Karamu House, a center of Black arts, culture, and community since 1915.

Karamu House, founded as a settlement house in Cleveland, Ohio, in 1915, is one of the preeminent homes of Black arts, culture, and community in America. Noted for its theater program, Karamu House also hosts a rich legacy in the graphic arts. Printmaking workshops open to artists and community alike launched in the 1930s, allowing a young Langston Hughes—as one notable example—to experiment with print.

Linked with printmaking's ethos of accessibility and democracy, a group including Elmer W. Brown, Hughie Lee-Smith, Charles L. Sallée Jr., and William E. Smith—some of the most prominent Black printmakers of the WPA era—founded Karamu Artists, Inc. Reproductions of works by such artists are accompanied by essays situating the prints, the artists, and this locus of Black arts and culture in the histories it shaped. These writings are complemented by an interview with printmaker and Karamu alumnus Curlee Raven Holton.